— Are We Entering A New Housing Bubble? —

住宅価格が年収の3~4倍のペースで上昇しており、クレジットチェック(信用調査)も緩和されてきている状況で、多くのアナリストは「住宅バブル(housing bubble)」というレッテルを貼りたがるが、NARのチーフエコノミスト、Dr.ローレンス・ユン氏はその違いを次のように述べている。

 「住宅ローン審査の基準が緩和されているというが、その状況はサブプライムローン問題以降は厳格化されて来た。それが少し緩んできただけの状況で、未だに通常ではない。前回のブーム時は誰にでもローンを組むことができた時代(loosey-goosey)で比較にならない」とユン氏は指摘する。

 加えて「住宅ローン審査の中心となるクレジットスコアー(credit score)は住宅バブル時はファニーメイ(Fannie Mae:米連邦住宅抵当公社)の基準で710~720点であったのが、現在は740~750(850が上限)なければならない。サブプライムローン時代には審査書類が不要(no-doc requirements)で通った時代とは次元が違う。さらに住宅価格が年収の上昇率を上回っており、歴史的に低い金利も大いに影響している」

 「それを現しているのが20%の頭金を投入した際の住宅ローンの毎月の返済額である。現在の利率では収入の15%を占めるが、バブル時はその比率が25%かそれ以上だった」と述べている。

 ユン氏は、「現在の販売可能な住宅供給数を業界では在庫数というが、平均で4~5ヶ月レベルで極めて低いことが挙げられ、これはバブル時と同じ状態にある。しかし、販売戸数は同じペースではない。2005年には既存と新築を合わせて840万戸を販売したが、2015年は合計で576万戸と最盛期の⅔に止まっている」として「在庫数の不足が現在の住宅価格を上げる大きな要因で正常に戻すためにはさらに住宅建設が必要になる」とも述べている。

<Source: Forbes.com by Dr. Lawrence Yun, Chief Economist of NAR>