米国住宅都市開発省 (HUD:U.S. Department of Housing and Urban Development) は、毎年、HUDが主導する低所得者層向けの住宅プログラムのガイドラインを発表しています。その中で目に留まったのは、カリフォルニア州のサンフランシスコ(San Francisco)でした。HUDでは、サンフランシスコの一家(夫婦と子供二人)の年間収入である117,400ドルを、低所得者層と位置付けたのです。

HUDは、全米の各都市でハウジング・アシスタンス (housing assistance)、つまり官主導の住宅などへの入居を優先的に受けられる年収の上限設定 (income limits) を主導しています。それは、各地域の一家の年間中間収入や住宅価格などを加味して計算しています。その指数の80%のレベルであれば「低所得 (low income)」、50%のレベルであれば「超低所得 (very low income)」、30%にも満たない場合は「極貧 (extremely low income)」とみなされます。

サンフランシスコ(11km四方の都市で、東京の山手線の中にすっぽり入る大きさ)では、前述の一家で年間所得が44,000ドル以下の場合は「極貧」、73,300ドルでも「超低所得」、117,400ドルの所得があっても「低所得」とみなされます。

住宅価格の高騰がサンフランシスコの物価を押し上げており、6桁の年間所得でさえ、低所得とみなされている現実があります。サンフランシスコの住宅の中間価格は、今年の4月には947,500ドルになり、2018年の第一四半期は、賃貸の中間価格も月額3,300ドルになりました。これは、前述の住宅価格では、サンフランシスコの住民の15%しか購入できない計算になります。

サンフランシスコでの年収が117,400ドルだとしても、すぐに連邦政府レベルの援助が受けられるわけではありません。「全米では、その指数が18,000ドルになっている」とHUDの報道官は弁明していますが、「ある一定の中間所得者層(一般的には年収が6桁のレベル)は受けられるだろう」と述べています。

ULI(Urban Land Institute:アーバンランド研究所)のフェローであるスーザン・ポプキン氏は、「学校の先生、消防士、あるいはレストランで働く人たちは、郊外に住んでいるため相当な時間を通勤に費やしているので、その必要性はある」と述べています。

<Source: CNN, Realtor.Mag>