全米リアルター協会(NAR)によると、アメリカへの海外からの住宅不動産投資は2016年度を49%も上回り最高値を記録したと、「2017年アメリカへの海外からの住宅不動産投資(2017 Profile of International Activity in U.S. Residential Real Estate)」で報告しています。
レポートによると、海外からの投資の半分近くは、主にフロリダ州、カリフォルニア州とテキサス州の3つの州に集中しています。
2016年4月から2017年3月時までの1年で、海外と米国に居住している永住者(グリーンカード所有者)は、合計で1,530億ドルを住宅不動産に投資しており、これは2015年の最高値である1,039億ドルを超えています。
この間、284,455件もの物件が海外の投資家に購入されており、2016年と比較すると32%も増加しています。
「米国内だけでなく、海外での政治的あるいは経済的な不透明さが存在する中で、海外からの米国への投資はそれらの外因的な要因には左右されなかった」とNARのチーフエコノミスト、Dr. ローレンス・ユン氏は述べ、「海外の通貨に対する米国ドルの強さと住宅価格の高騰は、海外からの投資家にとっては米国への投資は高い買い物となっているが、多くの投資家にとっては、米国への投資は安全かつ安心だということに尽きる」と続けています。
どの国がアメリカに最も投資をしているのでしょうか? 国別によると、中国が4年連続でトップの座を占め、3,170億ドルを投じています。しかし、この統計の中国には、香港や台湾からの投資も含まれています。継続的に長年にわたり多くの投資をしている隣国のカナダは、最高額の190億ドルを投資しています。
ユン氏によると、カナダのバイヤーは特定の地域への投資に集中しており、これらの価格は、カナダ国内の不動産価格、バンクーバー、トロントなどよりも安価だとしています。
またユン氏は、「販売可能な物件数(在庫数:Inventory)の少なさが物件価格を上昇させているが、海外からの投資トップ5の国々、カナダなどでは国内の不動産価格がさらに高騰しており、海外からの投資が急激に上昇した大きな理由の1つには、米国内の物件価格の方が自国に比べて購入しやすい価格帯だったことと、米国ドルとの為替相場を見て、この機を逃すと、将来的には為替相場の変動で高い買い物
になってしまうこと」などを挙げています。
海外からの投資家は、平均で302,290ドルを投資しており、この金額は2016年の住宅価格を9%上回り、既存住宅全体(235,792ドル)をも上回っています。海外からの投資家の約10%は100万ドル以上の物件を購入しており、44%のバイヤーはキャッシュで購入しています。
ユン氏は、「グローバル化とグローバル・エコノミー、その経済圏の拡大が、米国への投資欲を高めることになるが、在庫数の少なさ、つまり選択肢の少なさと現在の政治的な不安定さが、海外のバイヤーの購買欲を減少させる要因になるかもしれない」としています。
さらに、「米国の政策に伴う諸外国の反応や政策、現政権が行おうとしている移民入国制限政策とそれに伴う移住などの制限、あるいは今後の貿易政策などが、米国への不動産投資に影響を及ぼすこともあり得る」とユン氏は述べています。
<Source: Cost vs. Value Report>