全米リアルター協会(NAR)は、3月までは連続して販売戸数が伸びていたが、4月はいったん小休止したような状況であると発表しました。
既存住宅全体の販売戸数は、季節調整済みの数値で546万戸ペースと前月から2.5%減少しており、昨年同月比でも1.4%下がっています。これは2ヶ月連続して、年間販売ペースが減少していることになります。既存住宅全体とは、戸建て、コンドミニアムやコープなどを含んだ全体数です。戸建ての季節調整済みの4月の販売戸数は、3月の499万戸から3.0%減少した484万戸レベルになり、コンドミニアムの季節調整済みの販売戸数は、3月より1.6%増加した620,000ユニットとなり、昨年同月と変わりませんでした。
「販売戸数の伸び悩みの主な原因は、マイホームを購入したいという需要に応えられるだけの在庫数(Inventory:販売可能な物件数)が市場に出ていないことだ」とNARのチーフエコノミスト、Dr.ローレンス・ユン (Dr. Lawrence Yun) 氏は述べ、「金利は上昇しているが、雇用状況の促進と順調な景気の流れによりバイヤーをつなぎとめている。しかし、在庫数の少なさはここ数年でも最低値で、住宅価格の高騰が多くのバイヤーの〝購入できる範囲〟を超えてしまっている」と指摘しています。
現在の在庫数の少なさにも関わらず、物件は好調に売れています。バイヤーの強い需要と在庫数の少なさが、物件の販売スピードを加速しています。
ここで、5月のニュースリリースの個別の項目を見てみましょう。
住宅価格 (Home Price):4月の全ての既存住宅の中間値は257,900ドルと、昨年同月よりも5.3%上昇しています。4月の戸建ての中間価格は259,900ドル、コンドミニアムは242,500ドルでした。
在庫数 (Inventories):4月末時点のNARの在庫数は、3月より9.8%増加して180万戸レベルになっています。これは、1年前よりも6.3%減少しています。現在の販売ペースでは、4ヶ月分の在庫数となっています。
成約日数 (Days on the Market):4月は、物件が市場に出てから成約されるまでに26日かかっています。これは1年前の29日よりも短縮されており、ここからもマーケットが好調であることが伺われます。ユン氏は、「市場に出ている物件は、気がついたら成約されている状況で、NARがこのデータを取り始めた2011年5月以来、もっとも短い期間で売買されている。1ヶ月以内での成約は、このデータを取り始めて以来の早さだ」と述べています。
キャッシュでの取引 (All-Cash Sales):現金取引の割合は、4月は21%となり、昨年と同様です。個人の投資家が一番多く、15%を占めています。
困窮な販売物件 (Distressed Sales):これらは一般的にフォークロージャーやショートセールスに関わる物件を意味し、この4月には全体の3.5%に留まっており、NARがデータを収集し始めた2008年10月以来の最低値です。昨年と比べても、5%減少しています。
<Source: NAR>