1990年代に東海岸(East Coast) と西海岸(West Coast) のヒップホップはよく比較されましたが、それだけでなく、この米国本土の東と西は常に何らかの比較対象として扱われてきました。住宅に関してはこの2つには共通点が多く、住宅価格が平均的に高く、高級あるいは超高級なラグジュアリーな価格帯の地域が密集するところでもあります。

 一昔前とは違い、アメリカでの100万ドル (Million-Dollar Home) の物件は、豪邸を意味する「マンション (Mansion)」とは違ってきています。昔はちょっと手が届かない、映画などに出てくる夢の豪邸でしたが、現在はマイホームの延長線にある手の届く物件を意味しているようです。

 ということで、今回は東海岸と西海岸、どちらが100万ドルの物件を多く売っているのかを比較してみました。過去3年の資料を基に、人口が30万人以上の都市を対象にしています。

 日本では、コンドミニアムの総称をマンションと呼んでいるようですが、本来の意味では戸建てに使われており、それも映画に出てくるような正門から車で入っていくお屋敷をマンションと呼んでいます。

 総合的に見ると、西海岸は過去3年間で57,006件の物件取引がありました。これは東海岸の39,113件より、18,000件も多いことになります。

 西海岸は、30万人以上の都市が多いこともプラスになったようです。単体の都市での比較では、ニューヨーク州のニューヨーク(New York City)が1位で、西海岸の2つの都市の合計数に匹敵しています。全米ではこの3年間で、100万ドル以上の物件の取引が96,119件もありました。

 単体の都市で1位のニューヨークは31,613件の売買があり、東海岸全体のじつに81%の取引が集中しています。これは、ロサンゼルス(Los Angeles)とサンフランシスコ(San Francisco)の合計数とほぼ同じです。東海岸のその他の都市は、大きく離れてワシントンDC (Washington, D,C.:2,759件)、マサチューセッツ州のボストン(Boston:2,095件)、 フロリダ州のマイアミ( Miami:1,854件)となっています。ニューヨークの内訳は、マンハッタン(Manhattan)が24,457件、ブルックリン(Brooklyn)が5,233件、クイーンズ(Queens)が1,854件です。

 西海岸では、カリフォルニア州の南に位置し、映画や音楽のエンターテイメントで知られるロサンゼルスが一番多く21,722件ですが、隣接するサンタモニカ(Santa Monica)やマリブ(Malibu)、ビバリーヒルス(Beverly Hills)、ウエストハリウッド(West Hollywood)などは、人口が30万人に達していないために含まれていません。2位は北に位置するサンフランシスコで10,912件となっています。しかし住宅戸数をニューヨークと比較してみると、サンフランシスコは8分の1で、人口は10分の1のサイズであることから、多くの販売物件が100万ドル以上であることが想像できます。3位は同じくIT産業で知られているサンノゼ(San Jose)の7,993件でした。サンノゼは全米で戸建ての価格が一番高く、中間価格は894,000ドルとなっています。

 4位は南のサンディエゴ(San Diego)で5,186件、5位は西海岸の北に位置するワシントン州のシアトル(Seattle)です。ここは地方都市ながら航空機のボーイング(Boing)やスターバックス(Starbucks)、デパートのノードストロム(Nordstrom)、コンピューターのマイクロソフト(Microsoft)、ネットのアマゾン(Amazon)などの本拠地でもあり、取引数は3,722件でした。

 ハワイ州の州都・ホノルル(Honolulu)は西海岸では6番目にランクされており、100万ドル以上の物件の売買は3,511件でした。ホノルルは、戸建ての中間価格がサンノゼ、サンフランシスコに次いで全米で3番目に高い都市でもあります。今回比較した都市の中では最も小さい方に属していますが、100万ドル以上の物件の取引件数は多く、全米でも7番目にランクされています。

<Source: Property Shark>