米国の不動産データ分析大手、コアロジック社(CoreLogic)の発表によると、2016年の第一四半期を終えた時点で、多くのホームオーナー(家主)がマイホームのローン残高が物件価値を上回るネガティブ・エクイティの状況から、純資産を生み出しているエクイティの状況へとプラスの転換を示しており、その世帯数は4670万戸にもなります。前年同時期との比較でも、エクイティは7,620億ドルにものぼっています。
アメリカでは全世帯の35%に当たる家が、既に住宅ローン、いわゆるモーゲージを完済(free and clear)している状態で、モーゲージを借り入れしているのは全体の65%の世帯に当たります。
今年の第一四半期だけで、26.8世帯がエクイティを取り戻しました。これにより、住宅ローンを組んでいる世帯の92%で、住宅価値が住宅ローンの残高を上回りプラスに転じています。
「この4年間で住宅ローン返済者の持ち家のエクイティは倍になり、総額で6.9兆ドルにもなっている。純資産の増額は住宅価格の上昇により発生しており、ネガティブ・エクイティの縮小や元本の返済金増額など、すべてプラスの要因になっている。これらが家計のバランスシートの改善だけでなく、経済の回復へと繋がっている」と、コアロジック社のチーフエコノミスト、フランク・ノサフト(Frank Nothaft)氏は述べています。
「この1年で、100万世帯以上の家庭がネガティブ・エクイティというマイナスのスパイラルから脱却することができた」と前述のコアロジックCEO、アナンド・ナラサンンビ(Anand Nallathambi)は述べ、「この傾向は2016年、そして来年へ継続されていくだろう。住宅価格が全米でさらに5%上昇することにより、現在マイナスになっている100万世帯がプラスに転じることになる」と続けています。
全米ではまだ400万世帯、住宅ローンを抱えている全体の8%がネガティブ・エクイティの状態にありますが、2015年の第四四半期と比べても、その数は急激に減少していることは確かです。
ボトム5と呼ばれる5州が、全体のネガティブ・エクイティの30.2%を占めている状態にあります。最も悪い状況下にあるネバダ州(州全体の物件に占める割合が17.5%)、続いてフロリダ州(15%)、イリノイ州(14.4%)、ロードアイランド州(13.3%)、そしてメリーランド州(12.9%)の順になっています。
反対に、全体に占めるエクイティの割合が最も高いトップ5は、テキサス州(98.1%)、アラスカ州(97.8%)、ハワイ州(97.8%)、コロラド州(97.5%)、ワシントン州(97.2%)と続いています。
<Source: CoreLogic>